【解読】ナポレオンのタリスマンに隠された暗号The code hidden in "Talisman of Napoleon Bonaparte"

2023年1月18日執筆


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本記事ではG. Randall Jensen氏のレポートには記載されていない、ナポレオンのタリスマンに隠された暗号について解読し考察しています。

G. Randall Jensen氏が研究して暗号の一部を解き明かし、このタリスマンはナポレオンのものであると推定しました。

しかし「ナポレオンのタリスマン」の謎は深く、Jensen氏のレポートにも記載されていない「隠された暗号(数字上の奇妙な一致)」があることを発見しました。

今回はその「隠された暗号」についてG. Randall Jensen氏の研究を踏まえながら紹介しています。

ただ、あくまでもこのタリスマンがナポレオンのものであるという前提での解読と考察になりますので、それを踏まえた上でお読み下さい。

このタリスマンがナポレオンのものであることを信じるか信じないかはあなた次第です。

もしかしたら、将来、このタリスマンについての記録やナポレオンに関するエピソードが発見されるかもしれません。


G. Randall Jensen氏の研究レポート(英文)はこちらで配布されています。


「ナポレオンのタリスマン」の概要について知りたい方はこちらで簡単に紹介していますので参照してください。

※Jensen氏のレポートに記載されているものについてはその旨を記載しています。それ以外のものについては本ブログ著者の考察によるものです。

本記事画像はすべてG. Randall Jensen氏のレポート「The Talisman of Napoleon Bonaparte」の画像を使用し、分かりやすく解説を付しています。

引用:Auction Company of America HPから配布されているG. Randall Jensen氏のレポート「The Talisman of Napoleon Bonaparte」

0、「ナポレオンのタリスマン」の構成

◎「ナポレオンのタリスマン」における宝石の配置と数

Placement and number of gems in 'Talisman of Napoleon Bonaparte'

◎「ナポレオンのタリスマン」の裏面

Back of 'Talisman of Napoleon Bonaparte'

裏面からも「8」個のエメラルドが見えることが分かります。

1、ナポレオン「114+1」とジョゼフィーヌ「1+92」

ナポレオンを表す「114+1」

「ナポレオンのタリスマン」における宝石の総数は、ルビーが84個、サファイヤが20個、エメラルドが8個、真珠が2個、水晶が1個であり、合計115個となります。

ですが、水晶はスフィンクスの形に彫刻されており、大きさも違います。

そのため、それ以外の宝石114個+水晶のスフィンクス1個と表現することができます。

さらに読み解くと「1+14+1」となり、それは「14+2」と考えることができます。

ナポレオンのイニシャル「N」はアルファベットで「14」番目の文字であり、ボナパルトのイニシャル「B」は「2」番目の文字です。

これはJensen氏のレポート「The Talisman of Napoleon Bonaparte」に記載されています。

ジョゼフィーヌを表す「1+92」

◎ジョゼフィーヌを表す「1+92」

'1 + 92' representing Josephine

では「92」とは何かと言うと、スフィンクスの両脇に取り付けられているパネルに嵌められた宝石の数です。

ルビーが84個、エメラルドが8個、合計92個の宝石が嵌められています。

それに水晶のスフィンクス1個+パネルに嵌められた宝石92個と表現することができます。

「114+1」の時ように考え「1+92」を読み解くと、「1+9+2」となり、それは「10+2」と考えることができます。

ナポレオンの妻ジョゼフィーヌのイニシャル「J」はアルファベットで「10」番目の文字であり、ボナパルトのイニシャル「B」は「2」番目の文字です。

この隠された暗号を解く鍵は「92」であり、「92」はナポレオンにとって非常に重要な数だったと考えられます。

※本ブログ著者は、数学好きでジョゼフィーヌ好きであるナポレオンが自分とジョゼフィーヌを暗号にするとしたら、「109」かもしくは「92」を使うだろうと考えていたため「92」の発見は比較的容易でした。

2、ナポレオンにとっての重要な数字「92」

「92」の意味

結論から言うと、「92」という数字はナポレオンとジョゼフィーヌの融合を表していると考えられます。

ナポレオンの誕生日は1769年8月15日であり、ジョゼフィーヌの誕生日は1763年6月23日です。

ナポレオンの誕生年である1769の下2桁「69」+誕生月「8」+誕生した日「15」の合計数は92です。

そしてジョゼフィーヌの誕生年である1763年の下2桁「63」+誕生月「6」+誕生した日「23」の合計数も92です。

この「92」という数字の中にナポレオンとジョゼフィーヌが融け合っているのです。

「92」がナポレオンとジョゼフィーヌの融合を表していると考察する根拠

◎ナポレオンとジョゼフィーヌの融合を表す「92」の解読①:ナポレオンの誕生日の出現

Napoleon's Birthday Appearance

◎ナポレオンとジョゼフィーヌの融合を表す「92」の解読②:ジョゼフィーヌの誕生日の出現

Josephine's Birthday Appearance

ナポレオンの誕生日の合計数「92」からジョゼフィーヌの誕生日の合計数「92」を引くと「0」となります。

スフィンクスの左パネルの前側に嵌められた「21」個のルビーには「22」個目の丸穴があり、その丸穴は空洞となっています。

Jensen氏のレポートではこの空洞は「0」を表しており、タロットカードは「0」を含む「22」枚で構成されるため「タロット暗号」が隠されていることを示していると指摘しています。

そしてスフィンクス右のパネルの後ろに嵌められた「21」個のルビーの間には丸穴はありませんが空白が存在します。

この空白はその形状から「剣」を表している可能性があります。

タロットカードの大アルカナで「剣」が書かれたカードは「8:正義」です。

そして「剣」は「男根」の象徴でもあります。

「円(丸)」は女性を象徴しているため、左パネルの空白は「女性(ジョゼフィーヌ)」を表す空白であり、右パネルの空白は「男性(ナポレオン)」を表す空白だと考えられます。

タロットカードの大アルカナで「円」を表すカードは「0:愚者」と「10:運命の輪」が考えられます。

「男性(ナポレオン)」の空白から「女性(ジョゼフィーヌ)」の空白の間のルビーを時計回りに数えると「38」となり、「38」を右のパネルと左のパネルで分けると右「15」、左「23」となり、ナポレオンとジョゼフィーヌの誕生した日が現れます。

次に両パネルの中央のエメラルドは右「4」、左「4」、合計「8」となり、ナポレオンの誕生月が現れます。

エメラルドは「84」個のルビーを前後に分け、右のパネルの「4」個のエメラルドの後ろから「男性(ナポレオン)」の空白までの間に「6」個のルビーが嵌められています。

「6」はジョゼフィーヌの誕生月です。

最後にそれぞれ残りの宝石の数を数えるとナポレオン側の残りは「69」、ジョゼフィーヌ側の残りは「63」となり、ナポレオンとジョゼフィーヌの誕生年が現れます。

これで空白や、それぞれの宝石の数を余すことなく説明できました。

以上を総合して考えると、スフィンクスの両脇のパネルはナポレオンとジョゼフィーヌの融合を表していると考察できます。

3、その他に現れる「NB」と「JB」

1、で紹介したナポレオンを表す数「14+2(NB)」とジョゼフィーヌを表す数「10+2(JB)」は他に部分にも現れます。

「10+2」(ジョゼフィーヌのイニシャル「JB」)

◎ジョゼフィーヌのイニシャル「JB」①

Josephine's Initial 'JB'①

左の真珠「1」個+左パネルの宝石の合計「46」個+スフィンクス「1」個。

スフィンクス「1」個+右パネルの宝石の合計「46」個+右の真珠「1」個。

これら2つは「1」+「10」+「1」となり、「10+2」と考えることができます。

「10+2」は先ほどと同じくジョゼフィーヌを表しています。


◎ジョゼフィーヌのイニシャル「JB」②

Josephine's Initial 'JB'②

次に「円」を表す空白を「10:運命の輪」と仮定すると、その外側のルビーは「2」個あるため、ここにも「JB(ジョゼフィーヌ)」が現れます。

「14+2」(ナポレオンのイニシャル「NB」)

◎ナポレオンのイニシャル「NB」①

Napoleon's Initial 'NB'①

両パネルの前側のルビーの列は左「7」、右「7」で合計「14」であり、両パネルの端にぶら下がっている真珠は左「1」、右「1」で合計「2」となります。

「14+2」は先ほどと同じくナポレオンを表しています。

これは前方から見えるため、Jensen氏のレポートのスフィンクスの前方にある隠された「JB」に対応したものだと考えられます。

ジョゼフィーヌを示す暗号はスフィンクスの前に、ナポレオンを示す暗号はスフィンクスの胴体側面のパネルにあるため、これもスフィンクスの前(頭)はジョゼフィーヌを、スフィンクスの後ろ(体)はナポレオンを示している可能性があります。

スフィンクスは人間の頭にライオンの体を持つとされており、自分の名前は「砂漠のライオン」を示しているとナポレオンが言っていたと言われているからです。

「Napoleon(ナポレオン)」の中に「Leon」(古代ギリシア語)もしくは「Leo」(ラテン語)が内包されているからだと考えられます。


◎ナポレオンのイニシャル「NB」②

Napoleon's Initial 'NB'②

次に「剣」を表す可能性がある空白を「8:正義」と仮定すると、その外側のルビーは「6」個であり、「8」+「6」=「14」となります。

「14(ナポレオン)」を「円」を表す空洞に代入(ジョゼフィーヌと合体)すると「14」と「2」(外側のルビー)となり、ここにも「NB(ナポレオン)」が現れます。

4、その他に現れるナポレオンの誕生日についての考察

◎ナポレオンの誕生日①

Napoleon's Birthday①

3、でパネル前側のルビーの列には「N」が隠されていると指摘しましたが、右パネル後ろのルビーの中にもナポレオンの誕生日が隠されている可能性があります。


「剣」の空白を「8:正義」と仮定すると、その外側のルビーは「6」、その内側のルビーは「15」となり、06年8月15日が現れます。

1806年の誕生日は「アウステルリッツの戦い」で勝利した後の最初の誕生日であり、皇帝となっておよそ2年が経ちジョゼフィーヌとの間の直系の跡継ぎを欲していた時期です。

左パネルの「円」の空白を「10:運命の輪」と仮定すると、その外側のルビーは「2」、その内側のルビーは「19」となるため、02年10月19日が現れます。

もしかしたら、この日に何らかの出来事があった可能性があります。

◎ナポレオンの誕生日②

Napoleon's Birthday②

両パネル中央のエメラルドの列と後側のルビーの列にも暗号が隠されている可能性があります。

中央のエメラルドの列は左パネル「4」、右パネル「4」で合計「8」でありナポレオンの誕生月が現れ、後側のルビーの列は左パネル「7」、右パネル「8」で合計「15」でありナポレオンの誕生した日が現れます。

これに真珠の列左「1」、右「1」で合計「2」も加えると、02年8月15日となります。

真珠にサファイアの「4」列も加えると6列となるため06年8月15日を示している可能性もあります。

1806年の誕生日は先ほども説明した通り「アウステルリッツの戦い」で勝ち最盛期を迎えたこと、皇帝となっておよそ2年が経ちジョゼフィーヌとの間の直系の跡継ぎを欲していた時期です。

もしこれらが、とある年のナポレオンの誕生日を暗示しているとしたら、もっと確定的な何かがあるのではないかと考えられます。

4、隠されたタロット暗号

「ナポレオンのタリスマン」には多くの数字が表れ、それらはタロットカードと結び付けられています。

タロットカードは0番~21番までの合計22枚で構成されています。


G. Randall Jensen氏のレポートでの指摘

左パネルの空洞は意図的に作られた空洞で「0:愚者」を表しており、ナポレオン薔薇十字勲章と比較してタロット暗号が隠されているという鍵となります。

2個の真珠は「2:知恵/女教皇」を表しており、その他に「3:皇后/女帝」、「4:皇帝」、「6:恋人」、「7:勝利/戦車」、「8:正義」、「10:運命の輪」のタロットカードが隠されています。

「3:皇后/女帝」はルビーの列に4回繰り返され、「4:皇帝」はルビーの列に「15」回、エメラルドの列に表裏合わせて「4」回、サファイアの列に「2」回、合計「21」回繰り返されています。

そして全体として、エメラルド、ルビー、サファイア、パール、シルバー、クォーツ クリスタルの 6 つの素材で構成されており、ここに「6:恋人」が現れ、両脇の後ろに「6」個づつのサファイアが嵌められているため、「6:恋人」は合計「3」回繰り返されています。

「7:勝利/戦車」については7列のルビーが3ヵ所あり、「8:正義」についてはスフィンクス両パネルのルビーの列は8列づつであること、「10:運命の輪」についてはスフィンクスの台座の両脇には「10」個づつのサファイアが嵌められています。

Jensen氏のレポートでは上記のことを指摘しています。

G. Randall Jensen氏のレポートに指摘の無いタロット暗号の可能性のあるもの

◎タロット暗号:「1:魔術師」、「21:世界」

'1:The Magician' and '21:The World'

1、「1:魔術師」(The Magician)

水晶のスフィンクスは「1」個であり「1:魔術師」を表している可能性があります。

「1:魔術師」には「起源」や「創造」という意味があります。


2、「21:世界」(The World)

「21:世界」については両パネルに「21」のルビーが「4」回繰り返されています。

「21:世界」には「完全」や「不滅」という意味があり、4は「4:皇帝」表しているため、「完全なる皇帝」や「不滅の皇帝」を意味している可能性があります。

「4:皇帝」も21回繰り返されているため、「完全なる皇帝」や「不滅の皇帝」を強調しているものだと考えられます。

最後に

隠された暗号について考察する時間はとても楽しいものでした。

このタリスマンがナポレオンのものであるか無いかに関わらずJensen氏の発見と公表には感謝しています。

Jensen氏は、ナポレオンが終身統領になった最初の誕生日(1802年8月15日)頃までに完成したのではないかと推測しています。

しかし私の印象としては、「ナポレオンのタリスマン(Talisma of Napoleon Bonaparte)」は皇帝となった後、ジョゼフィーヌとの間に男子が生まれ、ナポレオン帝国が安定することを願って作成されたのではないかと考えています。

もしかしたら、これらの他にも何か別の暗号が隠されているかもしれません。

あなたも解読に挑戦してみてはいかがでしょうか。

ナポレオンではない別のある特定の人物のものであるという仮定の下で解読するのも面白いかもしれません。

参考資料

・「The Talisman of Napoleon Bonaparte」 G. Randall Jensen

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