【徹底考察】ロシアによるウクライナ侵攻について

2022年3月1日執筆

ロシアのウクライナ侵攻

2022年2月24日、昨年の2021年から侵攻準備を着々と進めていたロシア軍がついにウクライナに侵攻しました。

ウクライナ軍は2014年のロシアによるクリミア侵攻時、兵力200,000人と見られていましたが、実際に動ける兵力は約60,000人でした。

その後ウクライナは経済危機に陥り、クリミア侵攻時でさえ整備不良な兵器や設備が多かったにも関わらず、兵器や設備の更新は滞りました。

ウクライナとロシアの戦争はロシアがウクライナに侵攻したため、190,000人~200,000人とみられるウクライナ軍と予備役兵約900,000人に志願兵を合わせた全軍でロシア軍190,000人~200,000人に対抗していると考えられらます。

兵力的には予備役兵や志願兵を含めればウクライナ軍の方が数的優位を確保しているように見えますが、兵器の質と量、態勢などはロシア軍の方が圧倒的に有利です。

このままの状態でウクライナとロシアが戦争を継続した場合、ロシアは苦戦しつつも最終的には勝利を収めるのではないかと考えられます。

ロシアによるブダペスト覚書の反故

1994年12月5日、ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナの3国が核の放棄を条件にアメリカ、ロシア、イギリス3国が「その主権、領土を保全すること」、「侵略しないこと」、「他国から侵略された時は支援すること」、「政治的・経済的圧力を加えないこと」、「3国に対し核兵器は使用しないこと」などを約束した覚書をポーランドのブダペストでそれぞれ署名しました。

しかし、2014年ロシアによるクリミア侵攻により「ブダペスト覚書」は破られ、今回のウクライナ侵攻においても破られてしまいました。

これはロシアとの条約は無意味であることを意味しているだけでは無く、ロシアの周りの国は核武装しなければロシアに侵略されることを示唆しています。

周りの国はこれを教訓として核保有を進めるでしょうし、核を保有していない国は隠れて核を保有するようになるのではないかと考えられます。

そして核の放棄を検討していた国は核の放棄を思い留まるでしょう。

日本は現在、アメリカの核の傘によって守られているため抑止力となっていますが、もしアメリカの国力が相対的に弱い立場になったときや、核の傘による抑止力が日本にとって不十分なものになったとき、日本においても核保有が現実味を帯びるのではないでしょうか。



アメリカとロシアとの間の「1インチ」の口約束

プーチン大統領は、1990年2月9日のドイツ再統一に関する米国ベイカー国務長官と露国ゴルバチョフ書記長との会談で「1インチたりともNATOを東方に拡大しない」という口約束があったと主張しています。

これに対してNATO側は「そのような約束は無かった」と主張。2022年1月、米国ブリンケン国務長官は「NATOが新規加盟国を受け入れないと約束したことはない」と主張し、それに対するロシア側の抗議に対して「変更はない。NATOの門戸は開かれたままだ」と発言しています。

アメリカとロシアの主張は真っ向から対立していますが、1990年9月12日に正式に調印されたドイツ最終規定条約には「1インチたりともNATOを東方に拡大しない」という内容の条文は含まれていません。

ただ、NATOを東方に拡大しないことに関する発言はありました。

これは1990年当時のお互いの考えを伝えあう相互理解のための発言であるため、約束とまで呼べないようなものだと考えられます。

もし約束だったとしても、アメリカ視点では「1インチたりともアメリカが積極的に広げることは無いが、未加入国の主権を尊重しており、NATO規約の通り加盟したい国を拒むことは無い」であり、ウクライナは自らNATO加盟を希望している状況なので、アメリカは約束を破ったわけでは無いということになります。

そもそもこの「1インチ」の口約束はアメリカとロシア間の問題であり、アメリカ以外のNATO加盟諸国とウクライナは関係ありません。

そのため「アメリカが口約束を破ったからアメリカに宣戦布告する」ならまだしも「ウクライナに侵攻する」ことには全く正当性が無いのです。

プーチン大統領は「ロシアによるウクライナ侵攻の正当性」を作り出すために「1インチ」の口約束をプロパガンダとして持ち出したのだと推察されます。

国家元首を長く務めている人ですので、これらのことは重々承知した上で主張しているのでしょう。

ロシアはなぜウクライナへ侵攻したのか

1、ロシアの影響力が排除されようとしている地域を勢力下に置く

ロシアは2008年にグルジア(現ジョージア)に侵攻し、親ロシアである黒海沿岸にあるアブハジア共和国と南オセチアを勢力下に収め、2014年にはウクライナのクリミア半島に軍を派遣し、黒海の北側と東側一帯を勢力下に置いています。

そして2022年、ロシアはウクライナ本国への侵攻を開始しました。

2008年のグルジアへの侵攻は、グルジア領内の親ロシア地域であるアブハジアと南オセチアが独立しようとしているところをグルジア政府が軍事力によって独立を止めようとしましたが、ロシア軍が介入しロシアの勢力下に置かれました。

2014年のクリミア侵攻時は、クリミア半島の独立をロシアが支援し、その結果、クリミアはロシアの勢力下に置かれました。

そして2022年のウクライナ侵攻は、2019年にNATO(北大西洋条約機構)加盟を目指すウォロディミル・ゼレンスキー大統領が当選を果たし、NATOと交渉を始めたことを契機として開始されています。

もしウクライナがNATOに加盟した場合、ロシアは東欧地域においてNATO軍との緩衝地帯を失うだけではなく、ウクライナでの影響力をも失ってしまうことになります。

※北欧はスウェーデンとフィンランドが緩衝地帯となり、トルコ側ではジョージアやアゼルバイジャンが緩衝地帯となっています。

そのためロシアはウクライナに侵攻したのでしょう。

これらの経緯から考えると、現段階では「ロシアの影響力が排除されようとしている地域を勢力下に置くこと」がウクライナ侵攻の理由の1つであると考えられます。



2、絶対権力者としてバランスを失った

プーチン大統領はソビエト崩壊以降のロシアを支え、2000年に大統領となりロシア連邦を発展させてきました。

そして今まで3期大統領を務め、1期首相を務めています。

現在大統領として4期目となり、大統領の任期満了後も権力を保持し続けると考えられています。

プーチン大統領は治安機構を完全に支配下に置き、直属の武装勢力を持つなどロシア国内での不安材料を力で抑え込んでいます。

今回のウクライナ侵攻で反戦デモを行った多くのロシア国民が逮捕されていることがプーチン大統領が治安機構を完全に支配下に置いている何よりの証拠でしょう。

現在のプーチン大統領を蹴落とせる勢力はロシア国内にはないというのが現状です。

独裁者や専制君主にありがちなことですが、実績を上げた人はその過去の実績によって現在の発言力を強め、自己を肥大化させていきます。

その結果として極端な行動をとるのです。

ナポレオンも時間の経過(実績の積み上げ)とともに自己が肥大していき、ロシア遠征に繋がる大陸封鎖令を決断したという側面があります。

恐らくプーチン大統領も過去の実績によって自己が肥大化し、グルジアとクリミア半島での成功により今回のウクライナ侵攻に踏み切ったのではないかと考えられます。

3、コロナウイルスなどによる国内不安から国民の目を逸らす

ロシアでコロナウィルスが再拡大し始めたのは2020年10月頃、再々拡大し多数の死者が出始めたのは2021年6月以降です。

ウクライナ周辺にロシア軍が多数集結し始めたのは2021年11月です。

ロシア当局が発信するコロナウイルス情報は信用できませんが、ロシア当局もコロナウイルスによる感染の急拡大と多数の死者を発表していることから、非常に多くの感染者数と死者が出たのではないかと考えられます。

世界各国はコロナウイルスにより経済的に落ち込んでいるため、ロシア経済の落ち込みもかなりのものだったのではないでしょうか。

世界的に見て感染者数や死者数の少ない日本でも経済は落ち込み国民は疲弊しています。

感染者数や死者数が多いロシア国民の疲弊と抑圧は相当なものだと考えられます。

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領がNATO加盟の交渉を始めた頃からウクライナ侵攻は決まっていたが、コロナウイルスの感染者数が増えて国内不安が高まったため国民の目を逸らすために急遽ウクライナ侵攻が早められた可能性と、コロナウイルスの感染拡大による国内不安から早急に国民の目を逸らすためにウクライナ侵攻が決められた可能性の両方が考えられます。

もちろん、ウクライナ侵攻が目論見通り成功した場合、プーチン大統領の支持率が上がり自身の権力基盤の強化に有利な材料となることも想定に入っているでしょう。

米国の報道ではロシア軍の中に戦闘を行うことを知らされていなかった兵士や武器を扱う訓練さえも受けていない兵士がいたことなどから、このウクライナ侵攻は突然始められたように見えることも論拠の1つです。

そのため、ウクライナ侵攻はコロナウィルスによるロシア経済の落ち込みや国内不安が侵攻の決断の1つとなったか、もしくは侵攻の時期を早めたのではないかと推察されます。



ロシアの戦略目標

ロシアは目標が達成されれば戦争を終わらせるという発言をしています。

これはロシア軍には明確な目標が存在しているということを意味しています。

プーチン大統領は、ウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州をドネツク人民共和国、ルハンシク人民共和国として独立を承認し、その独立を支援するためにロシア軍を派遣すると発表し、首都キエフは攻撃しないという旨の説明をしていました。

しかし、蓋を開けてみればベラルーシ方面とクリミア半島方面、ハリコフ方面からも侵攻が始まり、現在、キエフは包囲されています。

このことから、ロシアの戦略目標はウクライナ全土を掌握し、ロシアの傀儡政権を作り上げることであると考えられます。

 

ロシア軍の侵攻作戦についての考察

今回のウクライナ侵攻はロシア軍を5つに分けることができます。

ロシア軍によるウクライナ侵攻:初期段階

1、ベラルーシ方面から侵入したキエフ占領を目的とした部隊。

2、北東方面から侵入したキエフ方面に向かっている部隊。

3、東方面から侵入したハリコフ州の制圧を目的としているであろう部隊。

4、南東方面から侵入したドネツク州とルハンシク州の制圧を目的としているであろう部隊。

5、クリミア半島方面から侵入した部隊。

現在の侵攻状況から見ると、それぞれの部隊にはそれぞれの制圧目標があり、ウクライナという国を包囲してロシア(実効支配している地域も含む)と隣接している州を占領しつつドニエプル川方面に進み、ベラルーシ方面からの部隊でキエフを占領する作戦なのでしょう。

今回のウクライナ侵攻作戦はそれぞれの部隊が独立して動いているように見えますが、恐らく、分進合撃作戦の初期段階(分進段階)であり、各部隊の目標を達成した後に連携をとる(合撃する)のだと考えられます。現状は作戦の第一段階目であり、連携を取るところまでたどり着いていないのでしょう。

そして、今回の侵攻作戦は急に決まったように見えます。

もしかしたら、はじめはドネツク州とルハンシク州の独立支援が主目標だったが、ウクライナのNATO加入が現実味を帯びたことにより、キエフを占領してウクライナ全土を掌握しようという計画に急遽変更となり、今回の侵攻作戦に至ったなどという経緯があるのかもしれません。

もしそうなら、キエフ占領が主目標だがドネツク州とルハンシク州の独立支援という建前上そちらにも多くの兵力を割かなければならなかったという可能性もありますし、計画自体を拡大したため、急遽より多くの兵力をウクライナ国境に集結させたという可能性もあります。

恐らく後者でしょう。

両軍の兵力配分が分かればもっと詳しくどのような侵攻作戦を計画していたのかが分かるでしょうし、ウクライナがどのようにして防衛しているのかが分かるでしょう。



今後のロシア軍の侵攻についての考察

ロシア軍はそれぞれの部隊の第一目標を達成した後は、ウクライナの真ん中を流れるドニエプル川に架かる橋や空港、鉄道、TV局などのメディア、通信施設、発電所(特に原子力発電所)などの重要施設を目指して進軍すると考えられます。

ロシア軍によるウクライナ侵攻:第2目標(予想)

ベラルーシ方面から侵入したキエフ占領を目的とした部隊はキエフの首都機能はもちろん、キエフ・ジュリャーヌィ国際空港、ボルィースピリ国際空港、キエフにある原子力研究所とキエフに架かる5本の橋。

北東から侵入しキエフ方面に向かっている部隊は、カニウ、チェルカッスイの橋。

ハリコフ州の制圧を目的としているであろう部隊はハリコフ国際空港、ドニプロペトロウシク国際空港、ポルタヴァ・スプリネウカ空港、ハリコフにある原子力研究所とクレメンチェグとドニエプロペトロフスクの橋。

ドネツク州とルハンシク州の制圧を目的としているであろう部隊はドネツク・セルゲイ・プロコフィエフ国際空港、ドニプロペトロウシク国際空港、ザポリージャ国際空港、ドニエプロペトロフスクとザポリージャの橋とザポリージャ南に位置するザポリージャ原子力発電所。

クリミア半島方面から侵入した部隊はザポリージャ国際空港、オデッサ国際空港、キロヴォフラード空港、ヘルソン、ノーバカホフカ、ザポリージャの橋とザポリージャ原子力発電所の占領が目標となるでしょう。

その中で最も橋に近いのはクリミア半島方面から侵入した部隊です。

クリミア半島から侵入した部隊は橋を占領した後、黒海沿いを制圧し、キエフ方面に向かいつつ途中にある南ウクライナ原子力発電所を占領し、そしてドニエプル川西岸沿いを北上することによってドニエプル川東岸側に残っているウクライナ軍の退路を断とうとするのではないかと考えられます。

ヘルソン、ノーバカホフカの次はムィコラーイウとザポリージャが標的になる可能性が高いです。

そして、ドニエプル川流域を勢力下に置きつつ南プーフ川を北上して南ウクライナ原子力発電所を占領し、ウクライナ西部の制圧とキエフ包囲部隊の支援を行うのだと考えられます。

橋や空港、鉄道、TV局などのメディア関連施設、通信施設、発電所、原子力研究所が目標となる理由

ドニエプル川や南プーフ川などに架かる橋はロシア陸軍が通るためはもちろんウクライナの補給路や退路の遮断などが目的です。

橋は重要施設であり、橋の占領は古来より重要な目標として位置づけられています。

空港や鉄道はウクライナ軍に使用させないためと、ロシア軍が使用しウクライナ占領をスムーズに行うためです。

メディア関連施設はウクライナ国内からの情報発信を無くすためや、ロシアに都合の良い情報を流すことが目的です。

通信施設はウクライナ軍による通信や携帯電話などをウクライナ国内で使えないようにするために目標となるでしょう。

発電所は、ウクライナ軍が電気を使えないようにしたり、自分で利用するなど電力のコントロールが可能になります。

それだけではなく、発電所(特に原子力発電所)はその重要性と危険性から攻撃されづらく、軍事施設として利用できるのです。

最後に原子力研究所ですが、ロシアにとって原子力は今後の軍事技術に欠かせない力ですし、ウクライナには使用してほしくない力です。

そのため原子力研究所の研究成果を奪うこと、そしてウクライナが研究成果を使用できないようにすることが目的となるでしょう。

更に言えば、ウクライナが「ブダペスト覚書」に反して隠れて核武装しようとしていたという証拠を捏造して主張するために占領しなければならないでしょう。



ウクライナの戦略目標

現時点でのウクライナの戦略目標は、ゼレンスキー大統領が「侵攻開始前の状況に戻すこと」を要求していることから、「ウクライナ侵攻開始前の状況に戻すこと」が戦略目標なのだと考えられます。

恐らく、次善策なども考えているでしょう。

そのためゼレンスキー大統領は、国民に呼びかけてウクライナを防衛し、NATOへの加盟交渉の加速や時間を得るために各国からの支援を求めているのだと考えられます。

ウクライナが生き残るために

1、長期戦にもつれ込ませる

米国の報道によると現在ウクライナ方面に動員できるロシア軍の75%が集結したとのことです。

そのため、ロシアは大兵力による短期間でのキエフ占領を考えているか、もしくはウクライナがNATOに加盟してNATO軍がやってくることを想定し、NATO軍に対抗することを考えているのだと考えられます。

戦争が長引いたと仮定して、もしロシア軍がNATO軍との戦いも想定していた場合、長期戦の準備をしっかりと行っているはずですが、ロシア軍が短期間でのキエフ占領とそれによる戦争の終結を想定していた場合、ロシア軍は早期に物資不足に陥るでしょう。

長期戦になれば、ロシア軍が短期決戦を計画していた場合、外交交渉により妥協点を探ることができるようになるでしょう。

2、ロシア軍により多くの損害を与える

ロシア軍の損害が増えれば軍の間で厭戦気分が高まり、プーチン大統領も無視できなくなります。

そのため、たとえ都市を放棄して後退せざるを得ない状況になったとしても決して諦めず、重要地点を防衛し続ける、もしくはゲリラ戦を仕掛ける必要があるでしょう。

後退方向などによってロシア軍を誘導し、1方向づつ各個撃破していける状況を作り出せるとロシア軍により多くの損害を与えることができますが、状況がそれを許さないかもしれません。

3、早期にNATOに加盟する

ウクライナのNATO加盟はロシアにとって脅威でしょう。

ロシアは昔からアメリカに対しNATOを東に拡大するなと言っています。

NATO(北大西洋条約機構)にはアメリカ、カナダ、ヨーロッパ諸国、バルト3国など30か国が加盟しており、「集団防衛」、「危機管理」及び「協調的安全保障」を任務とし、加盟国の領土及び国民を防衛することを最大の責務であり目的としている組織です。

簡単に説明すると30ヵ国による相互防衛機構です。

ロシアが主導する軍事同盟もあり、そちらは集団安全保障条約(Collective Security Treaty:略称CSTO)と呼ばれていて、ロシア連邦、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの6カ国が加盟しています。

◎NATOとCSTOの境界線

ベラルーシがロシアに協力的なのはこの軍事同盟があるからですね。

30ヵ国と6ヵ国が戦争を行った場合、単純に考えて30ヵ国が勝ちます。

しかもその30ヵ国にはアメリカやヨーロッパ諸国の先進国が含まれています。

そのためプーチン大統領はNATOを恐れており、ウクライナが早期にNATOに加盟した場合、外交交渉においてウクライナに有利に働くでしょう。

4、ロシア国民の反戦意識を高める

今回のロシアによるウクライナ侵攻はロシア国民にとっても寝耳に水でした。

ごく一部の幹部達によって決定されたものでした。

そのためロシア国民の反戦意識は強く、現段階で6,000人以上が反戦デモを行って拘束されたという報道もなされています。

そして、現在侵攻中のロシア軍の中にさえ、兄弟国であるウクライナを侵略するということを知らなかった部隊やウクライナ国民に歓迎されると聞いていた部隊などがおり、それらの部隊の兵士が本国の家族や友人などと連絡を取り合っています。

戦場から検閲無しで家族や友人とコミュニケーションが取れたり、他国のメディアや動画配信サイト、ブログなどから「今ウクライナで起こっていること」の情報が得られるのはインターネットが発達した現代ならではのことです。

これらを利用して前線の兵士達の厭戦意識を高め、ロシア国内にいる戦争に参加していないロシア国民の反戦意識を刺激できればプーチン大統領は困るでしょう。

ロシア国民の支持はプーチン大統領にとっても大きなものであり、逆にそれを失うことはあってはなりません。

そのため、数万人規模のデモが起こればプーチン大統領もそれを無視できないでしょう。



核戦争は起こるのか

ウクライナ1国とロシアが戦っている現段階では核の使用は無いのではないかと考えられます。

しかし、事態が変わりロシア軍が多くの損害を被りウクライナ侵攻が失敗に終わりそうな状況など、プーチン大統領個人の権力基盤が揺らいで安泰ではなくなった時、もしかしたら、核ミサイルのボタンが押されるかもしれません。

独裁者にとって重要なのは個人の権力であって国家も国民も自分の権力拡大のための糧だからです。

そのため、米国のバイデン大統領もプーチン大統領個人の財産を凍結することはしなかったのだと推察されます。

もしプーチン大統領が核戦争を決断する時は自身の国内や海外資産を活用できるようにし、プーチン大統領に近しい人達を安全な場所に逃がした後になるでしょう。

米国はその兆候を注視していると考えられます。

最後に

ロシアはウクライナの一般人や民間施設を標的にして多数の死傷者を出しています。

これは戦闘員や野戦陣地、軍事基地、兵器、軍需物資などの軍事施設のみを標的にしなければならないという戦時国際法に違反する行為であり、虐殺行為です。

プーチン大統領はロシア国民だけでなく、周辺諸国をも力によって抑えつけ、威嚇し、侵略しています。

日本の隣にはこのような権力者がいる国があります。

日本はウクライナから遠いから大丈夫と思っているあなた、それは間違いです。

アメリカの力が相対的に弱くなったり、アメリカの核の傘の影響力が弱くなった時、日本は侵略の標的にされるでしょう。

そして中国の習近平主席はこのウクライナ侵攻を注視しています。

台湾進攻を考えているからです。

台湾への侵攻時期は、中国にとっての機会が訪れた時か台湾が独立宣言を行った時でしょう。

そして台湾が失われた時、東アジアでの中国の次の標的は日本です。

台湾進攻が現実味を帯びる前に準備を整えられるといいですね。

状況は違いますが、このウクライナ侵攻が失敗に終われば中国は台湾進攻に少しは及び腰になるのではないかと思います。

間接的に日本を守るために、あなたにできるウクライナへの支援を行いましょう。


関連:ウクライナ侵攻の経過についてかんたんに解説
本記事はロシアによるウクライナ侵攻の経過についてかんたんに解説しています。開戦当初からの経過をおよそ時系列順に記載し、核の使用時期や終戦について考察をしています。
https://senjyutushi.net/news/Russia_Ukraine_War_Progress.html

関連:私たちにできるウクライナ支援
ウクライナには緊急の支援が必要です。小さな助けも集まれば大きくなります。本記事では、主な寄付先一覧や私たちにできるウクライナ支援を掲載していますので、参考にしてください。
https://senjyutushi.net/news/Ukraine_help.html