リヴォリ戦役　32：ブレンタ渓谷での争いとジュベール師団の前進
Rivoli Campaign 32

リヴォリの戦い、ラ・ファヴォリータの戦い

バッサーノの占領とカルパネでの戦闘

　1月26日未明、バヤリッヒ旅団との合流を果たせなかったコボロス将軍はヴァルスガーナ、フェルトレ、ピアーヴェ川を確保するためにバッサーノからの撤退を決断し2個大隊を前衛として向かわせ、バヤリッヒ旅団と合流する旨の報告をアルヴィンチに送った。

　朝、コボロス将軍は4個大隊、半個騎兵中隊を有するミトロフスキー旅団をカルパネに戻らせてヴァルスガーナをカバーし、自身はフェルトレ方面の連絡線を保護するために6個大隊でクレスパーノ（Crespano）へ後退した。

　バヤリッヒ将軍は騎兵隊とともにピアーヴェ川を船で渡りカンパーナ（Campana）へ到着しており、カンパーナでアディジェ川左岸側に残っていたプロベラ師団の残党約1,100人を集結させロヴァディナ（Lovadina）の橋を防衛する準備を行っていた。

　コボロスの撤退を知ったマッセナはバッサーノを占領し、さらにメナード旅団をカルパネに向かわせた。

◎カルパネでの戦闘

　メナード将軍は1個大隊で前衛を形成し、ブレンタ川右岸を遡らせヴァルスターニャ（Valstagna）に派遣し、第32半旅団の大隊に左岸を遡らせた。

　そしてメナード自身は前衛の少し後を第25半旅団の先頭に立って続いた。

　前衛はバッサーノから約6㎞ほど北上した高地にオーストリア軍を発見し、ヴァルスターニャへ村から村へ追い立てた。

　ヴァルスターニャに逃れたオーストリア軍は橋（恐らくリアルト橋（Ponte Rialto））を渡った後に橋の破壊を開始した。

　この瞬間、メナード将軍率いる第25半旅団が到着し、すぐにブレンタ川を左岸側へ渡るよう命じた。

　偵察兵と歩兵はオーストリア軍が破壊するのに時間がかかっていた橋梁に突入し、カルパネにオーストリア軍とともに入り乱れて入り、混戦となった。

　激しい戦いが続き、オーストリア軍はこのカルパネでの戦闘で死傷者約100人、捕虜約500人を出したと言われている。

　戦いに勝利したもののフランス軍には騎兵隊が不足していたため効果的な追撃ができず、砲兵隊を取り逃した。

※ミトロフスキー将軍の報告にはカルパネでの戦闘についての言及は無い。

　一方、オージュロー師団はマッセナ師団がバッサーノに入りカルパネで戦闘を行っている間、カステルフランコを占領しトレヴィーゾに進出していた。

ジュベール師団の前進

◎ジュベール師団の侵攻計画

　同じく26日、リヴォリ周辺のジュベール将軍は総司令官の命を受け、ヴィアル旅団にバルド山を進ませ、自身はビカソヴィッチ将軍が守るセッラヴァッレまでアディジェ川左岸を前進した。

　しかしビカソヴィッチ将軍はこれを撃退した。

　フランス軍左翼であるジュベール師団はアディジェ渓谷に侵入する命令を受けており、ラヴィース（Lavis）に流れるアヴィーシオ川まで進み師団右翼でヴァルスガーナを通じて、マッセナ師団との連絡線を確立することになっていた。

　この行軍は計画の第1段階目であり、モーリとブレントーニコ、トルボレの奪取が目的だった。

　ジュベールは左岸にある師団の多くの部隊をアディジェ川右岸側に渡らせ、ヴィアル旅団との連絡を繋いた。

　26日午後11時頃、ヴェローナのボナパルトはオージュローにジュベール師団とマッセナ師団の状況を伝え、トレヴィーゾに前衛のみを配置しパドヴァへ後退するよう命じた。

　そしてマッセナにもジュベール師団の前進についてやオージュロー師団にマッセナの退路を確保させていることを伝え、フェルトレへの偵察、ボルゴ・ヴァルスガーナへ進出する準備を行うよう命じた。

　ヴィクトール将軍指揮下のラ・サルセッテ将軍にはチスパダーナ共和国軍を、フィオレラ将軍にはトランスパダーナ共和国軍（ロンバルディア軍）を与え、教皇領への侵攻準備を行うよう命じた。

　この時までにボナパルトはベルナドット師団、デルマス師団などの増援の先頭がリヨンに到着したという連絡を受け取っていた。